「ピレネー山脈を越えるとアフリカである」
という有名な言葉がありますが、フランスにはない乾燥した風土と荒涼とした風景を表したものですが、スペインやポルトガルのあるイベリア半島がヨーロッパのなかで異色なのは自然環境だけではありません。
スペインはかつて、8世紀から15世紀までイスラム教徒に支配されていた。
そのために何か、フランス、ドイツ、イングランド、デンマークなどと違って何か、エキゾチックなイスラム文化の影響が見えるのが、スペインです。
たとえば、有名なパエーリャは米の使用とサフランの使用いかにもエジプトやイランなどのアラブ諸国の雰囲気を感じさせます。西暦9世紀以降にバレンシアの湖畔のイスラム教徒の集落では、湖の浅瀬や沼地を利用して、稲作を行ってきました。
そこでは、満月の休漁中の2日間に間、米と魚を煮込んだ料理をアッラーに捧げて、豊漁、豊作の祈願としました。
パエーリャのバレンシア風は魚介ではなく、ウサギの肉がオリジナル
現在、パエーリャは日曜日の昼食として提供されることが多いが、みんなで集まって食べるお祭りイベント的な料理としての今の残っています。コメは欧米人にとっては、野菜と同格なので、パエーリャももちろん、パンと共に食べられます。ちなみにバレンシア地方の伝統的パエーリャは皆が思うような魚介ではなく、ウサギの肉で作るのが本来のものです。
パエーリャに使うサフランは医薬品のひとつだった
スペインでは高価なものの例えとして、「サフランより高い」という言い回しをします。実際、パエーリャに欠かせないサフランは世界一高価なものの例えとして使われていますが、元来、アラブでは医薬品の一つでした。西アジアのイスラム圏はアラビア科学を軸とする自然科学が発達しており、イスラム文化は中世キリスト教文化より、はるかに進んでいました。
なお、パエーリャと似たトルコのピラフは、トルコあたりを発祥とするコメ料理のピラウを語源としています。ピラウの語源は炊いたコメですからご飯そのものですね。ちなみにペルシャ語です。
中東から広まった米料理は西アジアから中央アジアまで広がり、タジキスタンやウズベキスタンでは国民食となっています。インドの米料理のプラウなども同じ系列です。
西洋ではフランス語でもイタリア語でもピラフで、日本では洋風炊き込みご飯などといったりしますが、もとをただせば、洋風ではなく「アラブ風」ということになります。
ジャポニカ種とインディカ種の違いわかりますか?
最後にせっかく日本に欠かせない米ですが、ジャポニカ種(短粒種)とインディカ種(長粒種)の2種類があり、ジャポニカ種は普段日常で食べている粘り気のあるお米で、インディカ種は東南アジア、西アジア、ヨーロッパで食べられている粘り気が少ない米です。
インディカ種のコメを調理する時は、コメを油とともに調理する時が多いですが、パエーリャやリゾットなんかがそうですね。また、炊いたご飯を油でいためるチャーハンやナシ・ゴレンなんかがそうです。