オーシャンネットワークエクスプレス(ONE)が1万4000TEU型のコンテナ船ONE APUSがハワイ付近でコンテナを1816本を流出させましたが、本ブログでも掲載していますように、コンテナ船の荷崩れ事故は増加傾向です。
特にこれだけ多くの荷主が積載する船となると事故後の処理がどうなるのか?共同海損か?単独海損か?複雑すぎますよね。
GA(共同海損)とは?
共同海損費用や共同海損犠牲損害を、無事に救助された船体・
PA(単独海損)とは?
一方で、単に荒天によってコンテナが流されたりしたものは単独海損(Particular Average)で通常の貨物の損失として扱われますが。
ONEAPUSの場合はGAになるのか?PAになるのか?
1800本でもPAになるのが一般的ですが、ONEAPUSはロングビーチから神戸へ安全のために避難したという行為は船全体を守るための行為であるので、共同海損の対象ともなりえるとされています。
GA(共同海損)は船のオーナーの判断になる
これは船主の判断になります。GAであれば、コンテナ船に乗せた荷主にとっても負担となってしまうので、用船しているONE社はこの場合、かなりの調整が必要になってきますが、あくまで船のオーナーが判断するので、ONE社は荷主の意向はあくまで相対的なものになります。
GAとなればどのような手続きが?
GAが宣言されれば、
AVEGAGE BOND(共同海損盟約書)
LG(Letter of Guarantee,共同海損分担保証状)
COMMERCIAL INVOICE(仕切状)
などの提出を要求します。GA宣言後はこうした書類がないと荷主は貨物の引き取りができなくなってしまいます。
基本的には手続きは保険会社に任せればよい
荷主とすれば、こうした書類の提出等や手続きが保険会社の力を借りればよいが、保険に入っていなかったら本当にヤバイですよね。無保険の場合は供託金をDEPOSITですね。を出す必要も出てきます。荷主からすると本船が事故で遅延なのに、お金を払うって!となるでしょうね。実際に無保険の荷主もけっこういるそうで処理にはかなりの時間を要するでしょう。
ONE APUSの再出航はどれくらいかかる?
コンテナに一つの荷主ならまだしも、混載貨物で一つのコンテナに多くの荷主がいる場合もあります。この場合アクチュアルの荷主からも書類を集めなくてはいけないので、全て出すまでとなると相当の時間がかかってしまいます。最近はコンテナのリース会社なんかも増えていますから、コンテナ所有者から取り付けることも重要です。
10年以上前に、コンテナ船とバルク船が衝突して、GA宣言が出た際は精算に7年、今回のONEAPUSのように港に避難してから、2か月間停泊していたため、かなり時間はかかるでしょう?ただ、船の損傷という意味ではそれほどでない可能性もありますが、大事故といえば大事故なので、大きな船なので、時間は必要でしょう。
貨物を積んだまま停泊していてはとても間に合わないという貨物もあるはずなので、神戸で仮陸揚げして他の船で持っていってくれという荷主も相当いるでしょう。
ONEAPUS落ちてしまった貨物の保証は?
貨物は単独海損なので、保険をかけていれば問題ないですが、保険に入っていない場合でも損害賠償は請求できます。天候が悪い場合は過失免責になります。ただ、これから事故原因が究明され、免責にならない場合もあります。
中国の華南からアメリカのロングビーチに向かう11月30日に荒天に遭遇してしまいましたが、多くの海運会社はウェザーニューズ等の気象予報会社と契約して事前に荒天になる情報を受けて、テンションロットの増し締め等を行って嵐の海域を通過します。
現時点で公式に原因は発表されていませんが、もしかしたら、船長が 嵐を回避すると、入港時間や燃料費が増える事を嫌って、嵐の海域を通過する賭けをした可能性もあります。
現在、コンテナ船は意外に時間制限が厳しい運行を行っています。 特に港でのコンテナの積み卸し 積み込み時間が非常にタイトなので、入港時間に遅れると、他の船のスケジュールの関係で、出発が大幅に遅れてしまう事になる可能性があるので、船長はある意味厳しい運行をせざるを得ない面があります。 その点を考えると、つらい面がありますね。