今回は特殊なB/Lの代表例として、Hitchment B/LとSwitch B/Lを揚げておきます。
Hitchment Cargo B/LとSwitch B/Lはどのような時に使用されるのか?
1つの輸出契約で荷主が2か所以上の場所でサプライヤーから輸出品を受け取り、それぞれの発地から船積みするケースがあります。この場合、輸出貨物を最終港(地)で併合して、1件のB/LにまとめたものがHitchment Cargo B/L(併合貨物船荷証券)です。
最終港船積み(最終地受け取り)以外の貨物については、併合(Hitch)される最終港(地)まではローカル輸送の取り扱いとして、これに対して、LOCAL B/Lを発行している場合はこれを回収して、併合される貨物を受け取り、すべて船積みが完了した時点で発行します。
Switch B/L(引換船荷証券)が、途中の寄港地を仮の荷揚げ地(引渡地)として発行したB/Lを、今度はそれと引き換えに仮の荷揚げ港(引渡地)を仕出し港(仕出し地)として発行する2番目のB/Lです。例えば、日本の商社Bの仲介で中国のメーカーAから米国の輸入業者Cに商品を輸出する際、まずAを荷主、Bを荷受人、積み地中国、仕向け地米国でフォワーダーにB/Lを発行してもらいます。
このB/LをBが日本で回収し、新たにBを荷主、Cを荷受人、積み地中国 仕向け地米国で同じフォワーダーにB/Lを発行してもらい最初のB/Lと差し替えます。この2番目のB/LがSwitch B/Lです。
CがBの仲介を外して、Aと直接取引することを防ぐためAの身元がわからないようにするなどの目的で三国間輸送で行われます。
Multiple B/L
通常1本のコンテナに1件の船荷証券(B/L)が発行されるますが、コンテナ1本に複数のハウスB/Lが付く場合があり、これをMULTIPLE B/Lといいます。L/C信用状など商売上の理由により、インボイス単位でのB/L単位でB/Lの作成が要求される場合があります。複数のB/LあるいはWaybillが発行されます。これらの書類に記載される荷送人、荷受人はともに1社です。
より具体的に、例えば、インボイスの指定によってA,B,C,D,E社と5社のハウスB/Lが発行されますが、そのうちABCは同じコンテナにD,Eは別の同一コンテナに詰められ、運賃はAのB/Lですべてカバーされるとすると、B/LはA,B,Cが同一コンテナであることの明記、運賃は「FREIGHT COVERED BY B/L “A”」と明記します。同様にD,Eも同一コンテナであることの明記、運賃は同様に「FREIGHT COVERED BY B/L “A”」と記載します。
Multiple B/Lの場合
貨物の引き渡しは関連B/Lが全て回収され、運賃の支払いが確認されてからとなります。その際、A,B,C,D,Eがすべて一緒にリリースされます。その際には、A,B,C,D,Eの全てが一緒にリリースされます。つまり、CY/CY輸送では複数のB/LがすべてCYコンテナを引き渡すということで、船社あるいはNVOCCのCFSでデバンニングし、それぞれの荷受人が貨物を取りに行く場合は、CY/CFS輸送となりますから、Multiple B/Lとはいいません。CY/Door 輸送でもMultiple B/Lは認めないところがあります。
Multiple B/LはCY/CY輸送では複数の荷受人の海貨業者が同じ場合はCYで早くコンテナを受け取ることができ、自社倉庫でデバンして、仕分けができる点がメリットです。デメリットは複数のB/Lが揃わないとDelivery Order (D/O,荷渡し指図書)がもらえないことです。CY/CFSでは、船社がデバンニングし、仕分けしてすぐ引き渡せますが、それまで時間がかかるというデメリットもあります。