こんにちは。海事代理士のらきてぃっちです。
今回はサレンダーBLについて紹介します。
サレンダーって言葉を初めて聞いたのは、中学の時の布袋のサレンダーって曲ですが、全く関係ありません。
サレンダーは元地回収ともいいますね。普通にきくと余計、わからないですよね。この言葉。なんでこんな名前になっちゃったんですかね..
貨物を引き取るときにはB/Lの原本(オリジナル)が必要だったが?
B/Lは輸出地の船会社が発行し、輸出者から輸入者へと譲渡され(所有権が移転され)、輸入者は貨物を引き取るときに輸入地の船会社に提示しなれればならない書類だとお話ししました。
B/Lは、有価証券の性質から“原本(オリジナルB/Lといいます)”を取り扱うことが重要で、貿易実務の本では、オリジナルB/Lを使用すること前提とした取引で説明されていますので、実際の実務を行うとかなりギャップを受けるのではないかと思います。オリジナルはかなり不便で減少の一途をたどっております。
近年はコンテナ船が高速化したことで、貨物は輸入地に到着しているのに、オリジナルB/Lが届かないために貨物を引き取れないという事態が発生するようになりました。
オリジナルB/Lを使用した取引が基本であることに変わりはないのですが、こうした現状を踏まえて、サレンダードB/Lと呼ばれるB/Lを取り扱う取引も増えています。
実際、便利です。何か間違いがあったときも原本を送ってしまうと処理が大変なんです。こちらで船会社で持っていれば、訂正も楽だし、FAXやメールで送信して終わりですからね。特にアジア圏なんかはあっという間に船が到着してしまいますからね…土日はさんで、処理をしていたら、書類が追いつかないこと間違いなしです。
「サレンダードB/L」は、“元地(もとち:積地の意)で回収された(=surrendered)B/L”という意味で、輸出者はオリジナルB/Lを譲渡しなくても、輸入者が貨物を引き取れるように船会社に依頼したB/Lを指します。
「サレンダード(元地回収)B/L」の特徴と仕組み
「サレンダードB/L」は、先ほどふれたように、輸入実務的にいえば、メールやFAXで書類を受け取っても輸入者は貨物が引き取れるのが、とても便利、荷主、船会社どちらにもいいこと(結果として、船の到着後すばやく貨物を引き取ることができます。)
大幅に時間短縮できるため、航海日数が短いアジア圏内での取引や、長年の取引で信頼関係を築いた会社との間で活用されています。
元地回収の依頼を受けた船会社は、発行されたオリジナルB/Lすべてに“Surrendered”の印を押します。
輸出者はFirst Original(原本1通目)のコピーを受け取り、そのコピーを輸入者へメールまたFAXで送付して、貨物の引換証としてもらいます。
※Telex Releaseテレックスリリースと表現されている場合もありますが、Surrenderedと同じ意味です。
また、輸出地の船会社はサレンダードB/Lであることを、輸入地の船会社に対してメールやシステム間でコードが出力され、システム内でもチェックできますし、輸入地の船会社もオリジナルB/Lがなくても貨物の引き渡しを行えるように手続きします。
「サレンダード(元地回収)B/L」のメリットと留意点
「サレンダードB/L」には、ここまで説明してきた通り、輸出者はB/Lの原本送付が不要になり、輸入者にコピーにメールやFAXで送るだけで済むメリットがあります。輸入者も、特にアジア圏内での取引など貨物がすぐに到着する輸入業務において、オリジナル書類待ちで焦らずに済むといったメリットがあります。
船会社、商社にとってサレンダーBLの利便性まとめ
- 荷受人に送付の必要が無くなるなどの事務手続きの合理化
- 書類紛失に伴うリスクの回避
- 経費の削減(B/L 未着や紛失の際に保証状の手配が不要であり保証料が節約できる。
サレンダーB/LになるとBLの性質が変わります
- 元地回収(サレンダード)された時点で有価証券としてのB/Lの機能は失われ、L/C取引では用いられません。
- 到着地で正しい貨物受取人に貨物を引き渡す必要があるため、船会社は荷受人宛の記名式船荷証券以外は取扱いません。
- サレンダードB/L」という用語は、主に日本とアジア地域との間で行われており、その他の地域では通じない場合があります。
まあ、こんな感じですよ。