スペインのパエーリャは、中南米などかつて植民地としていた地域に広く知れ渡っています。
ただ、独特の平鍋を使った調理法は忘れ去られ、平鍋を意味するパエーリャという名称の使われていません、
鍋で炊き上げた中南米各地で中南米各地でポピュラーなコメ料理の実体はパエーリャとは異なるもので、「アロス・ア・ラ・バレンシアーナ」(バレンシア風米料理)とか「アロス・コン・ポジョ」、「アロス・コン・マリスコス」(魚介入り米料理)などと呼ばれています。
お家でクリパ🎄第二夜w
今日のメインはパエリアヽ(´▽`)/
…ただこれ…炊飯器の匂いがしばらくとれないヤツやわぁw#お家ご飯#パエリア pic.twitter.com/KLqpBgu0U7— 邑咲* (@Murasaki_khm21) December 25, 2020
東南アジアにも1か所、「アロス・ア・ラ・バレンシア-ナ」が食べられるところがあります。
それは、フィリピンです。フィリピン(Philippines)という国名がスペインの皇太子フェリペ(Felipe),のちの国王、フェリペ2世の名前を記念したものであるということからもわかる通り、この国とスペインとの関係は深いです。
17世紀後半から300年スペインの支配下にあったためです。スペイン語はもう使われていませんが、人名や地名など固有名詞には、スペイン語的なものが多く、料理名にもスペイン語が残っています。ただし、当然のことながら、同じ名のスペイン料理や中南米とは隔たりになる。
たとえば、アサドというのはローストの意味で、スペインでは仔豚を腹開きにして丸ごとオーヴンで焼いた「コチニーリョ・アサド」(焼いた仔豚)がセゴビアの名物としてよく知られています。皮パリッと、身はふっくらジューシーに仕上がるように専門の料理人が手間をかけて焼き上げたコチニーリョアサドは、文豪ヘミングウェイの好物でもありました。
フィリピンの人々も仔豚の丸焼きが大好きで、スペイン語でフィエスタと呼ばれる祭りには欠かせないが、コチニーリョ・アサドとはいわないのです。仔豚を意味するもう一つの言葉、レチョンが、フィリピンの仔豚の丸焼きの名前です。フィリピンでアサドといえば、中国系移民の伝えた焼き豚を指します。
ちなみに中南米でも仔豚の丸焼きはレチョンと呼ばれることが多く、アサドとかカルネ・アサドといえば大抵が牛肉の直火焼きを指します。アルゼンチンのアサドは国民的料理です。
フィリピン全体の料理としては、中国料理の影響が大きく、また、魚醤、ココナッツミルクの使用など、東南アジアの食文化を共有します。その一方で、唐辛子と使わないマイルドな風味が好まれます。
また、中国の食文化の影響を受けながら、冷めた料理で食事ができない中国人と違ってフィリピンではわざわざ、冷ましてから食べます。