こんにちは。海事代理士のらきてぃちです。今回は船の種類、分類にはクルーズ船、漁船、石油採掘船などさまざまなものがありました。より具体的に確認していきましょう。
クルーズ客船
豪華客船と呼ばれる船はすべてクルーズ専用船で、各クルーズ会社は大西洋定期航路を行き交った巨大な定期客船ををしのぐ巨船を次々に建造して、カリブ海やエーゲ海に投入しています。
アメリカのクルーズ客船
アメリカのクルーズ会社などはカリブ海や地中海の定期クルーズを行っていて、乗客の等級分けのないモノ・クラスのボートが多く、乗務員の階級を取り外したものもあります。料金の違いは部屋の大きさや海に面しているか否かだけによって決まり、非常の安いです。近年は船の巨大化にともなうスケールメリットによって、クルーズの大衆化が急速に進み、手軽さが増しています。最近では、乗客のニーズに応えるべく各種アミューズメント施設が充実しており、船でサーフィンを楽しめるプールやフリークライミング、そして、スケートリンクまで用意されています。
超高速旅客船
超高速旅客船とは、定期航路上で乗客だけを大量に輸送する客船はもはや、国際航路・内航航路を問わず、需要そのものがなくなってきている。日本では、1000トン未満の船を除けば、定期的に運行される客船はほぼ全てフェリー化されており、長距離フェリーの中には2万トン級の船もあります。
しかし、定期客船の歴史がこれでまったく途絶えたわけではありません。比較的少数の旅客を輸送する航路においては、小型で高速の客船の需要はつねにあり、瀬戸内海や九州北西部のような多くの島がある海域では、小型高速船が旅客輸送の唯一の足であり続けています。そして、このような需要に応じて、近年数百人程度の定員を持ち、在来型の船の1.5倍~2倍の高速性能を持つ、超高速旅客船、時速65キロ以上で走る小型客船が多数開発されています。
例えば、波浪貫通型(ウェーブ・ピアサー)、全没翼型水中翼船にウォータージェット推進を組み合わせた「ジェットフォイル」などは日本近海で多数就航しており、本土と離島を結ぶ航路として大活躍しています。
高速旅客船の将来
高速旅客船の多くはウォータージェット推進で燃料が高く、船の建造価も高価です。また、超高速旅客船は一般に定員数百名程度で、乗客一人あたりの運航経費はどうしても在来型よりも高くなります。日本の内航航路において、超高速旅客船がフェリーと平行して、定期航路ができるのは、その速さのおかげです。
コンテナ船
海運の主流・コンテナ船。コンテナシステムは、アメリカの運送業者であるマルコム・マクリーンによって、1950年代に実用化されたもので、近代物流史上最大の改革と言われています。それは、全ての物資輸送を規格化された大きさの金属の箱(通常長さ20ないし、40フィート、幅8フィート、高さ9フィート6インチ)によって行うもので、あらゆる製品を工場や農作物の仕分け場でそのままコンテナに輸送し、専用高速船に搭載して、目的地まで運ぶと再び、トレーラーで荷受け人の元へ届けます。鉄道による輸送も同様です。
従来の貨物輸送では、さまざまな貨物を雑多な大きさの梱包にして、貨物船を積み、港ではクレーンを用いて、1つ1つ人手で荷さばきを行っていました。これには多大な時間と労力を要して、しばしば荷役のために、船に船は何日も港で何日も港で停泊しなくてはなりませんでした。
しかし、コンテナ船は陸海を通じて一貫したコンテナ輸送システムの一部として、専用の埠頭と荷役装置を持ち、極限までも省力化と荷捌きの迅速化、船自体の高速化が進んでいます。国際定期航路はコンテナ船の独壇場です。
コンテナ船の発展
世界最初のコンテナ船は、第二次世界大戦中に量産されたタンカーを改造し、1956年に投入されました。しかし、この船はコンテナに積んだトレーラーをそのまま自走されて載せるRoRo船であり、その車体の分だけ積載効率が悪くなりました。そこで、1957年にマクリーンさんはコンテナだけを取り出して、船内にぎっしりと積み込む「セルガイド式」を考案します。船倉内にガイドレールを林立させて、コンテナをはめ込んでいく方式で世界発のコンテナ船を就航させました。
この方式の圧倒的な輸送効率の高さが業界全体に認識されると、世界中の港湾にコンテナ専用の埠頭が急速に普及して、たった、10年ほどで全国際航路のコンテナ化が達成されています。ちなみに日本発のコンテナ船は1968年に就航しています。
コンテナ専用船の大きさのトン数は搭載できるコンテナの数であらわされていることが多く、20万トン級の船も多く就航していますよ。四角コンテナは無駄なく、船内に詰め込まれるため、平らで輸送の迅速化を図ることができます。多くの船は30ノットを超える運航速度を誇ります。
RoRo船の意味は?コンテナ船と並ぶ主役を張るRoRo船の意味は?
現在、国際幹線航路の物流は完全にコンテナ船によって担われています。そこからさらにコンテナ専用の荷役施設を持たない各地の港へコンテナを配送する場合、あるいは、もともとコンテナ関連施設のない港同士を結ぶ場合、活躍しているのが、RoRo船です。
RoRo(ローロー)とは、Roll-On Roll-Offの略
人間が荷役を行うのではなく、コンテナ・トレーラーやトラックがランプウェイ(傾斜路)を通って直接船に走りこむRoll-on(ロールオン)、そのまま荷物ごとそこに駐車し、目的地で別のドライバーが車を乗り継いで走り出るRoll-off(ロールオフ)という方式です。車の積み込み、積み降ろしも運転手自身ではなく、船の係員が行い、一般的な旅客フェリーのように運転手全員を乗客として、乗せることはないです。
LoLo(ロロ)船もある!名前は似てるが、RoRo船(ローロー)船とは違う
南大東島行きのトラック積み込み完了。今日の荷役はここまで。#内航船の日 pic.twitter.com/sDAHovUf9f
— 大吟醸船長 (@capttsune) January 26, 2018
ちなみにクレーンによっては上下方向に船倉に荷物を吊り入れ、吊りだす在来型の貨物船はLoLo船(Lift-On,Lift-Off)と呼ばれています。LOLO船を定義すると、Lift on、Lift offという言葉が表しているように、コンテナを陸上のガントリークレーン(または本船クレーン)で吊り上げ、荷役を行うタイプ(垂直荷役方式)になります。
RoRo船の特性と構造
1969年、日本最初のRoRo船として、登場した「神珠丸」は、北海道から東京まで新聞用の紙を運搬することをおもな目的として建造されました。
紙は雨に弱く、船倉への貨物の搬入を甲板上に開いた倉口からクレーンで行う従来の貨物船では、どうしても紙が雨に当たる恐れがあり、雨の日は荷役ができませんでした。その点で甲板が閉じているRoRo船は天候に左右されすに荷役ができますし、荷役そのものにかかる時間、荷物の集散にかかる時間も大幅に短縮できます。それはまた、RoRo船の恩恵に預かる後背地の面積が広がることも意味しています。
RoRo船のこの特性をもたらす、船体構造上の最大の特徴が、船首、舷側または船尾に設けられたランプウェイです。ランプウェイの幅と有効加重は船の荷役能力に直結していて、大型のトレーラーがすれ違えるように、幅25メートル、有効加重100トンに達するような巨大なランプウェイを備えた船もあります。
ただし、すべての貨物が直接、車ごと乗り降りするわけではなく、通常のフォークリフトやトラクターによる荷役も併用されています。また、甲板が広大な空スペースとなるために、ここにコンテナをクレーンで積み上げることも多いですよ。
バルク・キャリアー(特定貨物に特化した貨物船)
バルク・キャリアーとは「ばら積み貨物船」のことです。各種鉱石、石炭、穀物、小麦粉、食用油など、袋や容器に詰めることなくそのまま船倉にばら積みできる貨物を「バルク」と呼び、乾燥した貨物をばら積みする船を「バルク・キャリアー」あるいは「ばら積み船」と呼ぶ。
バルク・キャリアーの歴史は古く、すでに1852年にはイギリスの石炭運搬船「ジョン・ボーズ」が就航してました。もちろん、当時の荷役はかなりの部分を人力に頼っており、荷役の効率は通常の梱包貨物より悪かったため、大量の石炭を梱包する手間と経費を考えれば、ばら積み船には大きなメリットがありました。
1905年にはバルク・キャリアーに特有の断面が三角のバラスト・タンクを持つ船が登場します。
バラスト・タンク 荷物の多寡によって、船の重心が大きく変動する時に海水を注入して、船を安定させるタンクで、船底などに備え付けられます。
現在のように港に専門の荷役施設を置く純粋なバルク・キャリアーが登場するのは1950年代に入ってからとなっております。
バルクキャリアーの種類と特徴
バルク・キャリアーには、その貨物によって、石炭専用船、鉱石専用船、穀物専用船などさまざまな種類がありますよ。そして、それぞれ、積荷の内容によって、内部構造にも大きな違いがあります。
鉱石を運ぶ船は貨物の比重がとても大きいため、船の倉は船の中央部に細かく作り、両舷側には大きなバラスト・タンクを持っています。穀物や石炭の運搬船では、運行中に荷物が揺れ動いて、加重が大きく偏り、船が転覆するおそれがあるために船倉の上部の角を斜めに削って、荷物が動き回らないように工夫がしてあります。そして、後に残った断面が三角になる空間をバラスト・タンクとして利用しています。これをトップサイド・タンクと呼んでいます。このタンクによって、下がり過ぎた船の重心を調整できることができます。
バルクキャリアーには、特定の貨物のみに特化した専用船と、複数種の貨物に対応できる兼用船があります。専用船の場合は特定の航路のみを想定されて設計され、港にはその荷物に専用の荷役施設が取り付けられて、船にはいっさい荷役用の施設がなく、一見タンカーのよに見えます。
自動車専用船
自動車輸出の基幹輸送システム、自動車専用船とはその名前の通り、自動車を専門に運搬するように設計された専用貨物船です。かつて、自動車は一般貨物と同じく、パレットに乗せ、在来型の貨物船の船倉にクレーンで積み込まれていましたが、自動車生産国からの自動車輸出量が増大していくにつれて、この方法では需要をまかなうことができなくなりました。舷側や船尾にランプウェイをつけ、車を自走させて、積み込むRoRoタイプの船が求められるようになりました。
そこで、1960年代から、各国で自動車専用船の建造が始まりました。日本では1965年に日立造船で建造された「追浜丸」が最初の自動車建造船です。
自動車運搬船の構造
自動車専用船とはどういうものかを一言で説明するのであれば、巨大なPCC(純自動車専用運搬船)は乗車用6000台を積載できます。
船の内部は立体駐車場のように多数の床で仕切られて、甲板や斜路はエレベーターで結ばれています。内部容積を最大にとれるように舷側も平らです。車の積み込み要員は、埠頭から車を運転して、舷側や船尾にあるランプウェイから船内に入り、所定の場所へ停車させます。狭い場所に何台車を詰めこめるかが勝負なので、車間間隔は横10CMという名人芸が求められています。
車は基本的に貨物としては軽いため、数千台積める大型PCCが車を満載しても、喫水はそれほど上がりません(船は沈まない)そのため、船の重心から上が重くなりすぎないように、船の上部構造は一般的には軽く作られています。
また、1平方メートルあたりの甲板強度は普通の貨物船が2~3キロあるのに対して自動車運搬船は200キロほどです。
オイルタンカー
人類史上最大の輸送機関で、一般にタンカーと呼ぶのは、石油(原油)を輸送する専用の船のことで、厳密には「オイルタンカー」と呼んでいます。石油を専門に運ぶ船の歴史は、1885年にドイツで建造された半木造船の汽帆船にまで遡りますが、1940年代まで、大きさは2万トン級止まりでした。しかし、中東が石油の安定供給源となり、タンカーが特定の航路のみを走る浮かぶタンカーであればいいという時代がくると、一度に大量の石油を運ぶ方が安くなるということになりました。
そこで、1950年代以降、タンカーは急速に大型化していきます。その先陣を切ったのが、日本でした。
タンカーの構造の変遷
タンカーのタンクは、船の揺れることによって、オイルが大きく揺れるのを防ぐために縦横に仕切られています。ですが、石油の積み込みが世界に分散するように新しいタンカーで座礁がかなり発生するようになりました。そうしたことでの環境破壊も深刻なものとなりました。
タンカーは昔はシングル・ハルといって、船の底や壁が一重の状態で中のタンクに石油を積んでいました。最もひどい事故が、1989年のエクソン・バルディーズ号事件です。この事故は人為的環境破壊のうち最大級といわれています
そこで、タンカーを二重船殻が義務化されて、旧式のタンカーも次々に改装されました。これをダブルハルタンカーというのですが、オイルタンクの周囲を二重のハル(船殻)で包んで、タンクを守ります。
出典:商船三井
一方で日本では「ミッドデッキ型」と呼ばれる新しいオイルの流出防止機構が考案されました。油槽を上下2段に仕切り、仕切りが喫水線より下にあるため、油は周囲の水圧に押されて、流出することがないです。ただ、これを実際に用いた船はまだありません。
LNGタンカー(Liquefied Natural Gas)
LNGこと天然ガスは-162℃で液化し、体積が600分の1に減るためこの状態で運びます。天然ガスは、多くの場合油田や炭田の副産物として地中から産出しています。日本の都市ガスもこの天然ガスで、近年では海外からも輸入量も大幅に増大しています。
天然ガスは石油よりやや遅れて、1950年代から本格的な資源開発がされていて、それと同時に長距離を安全に輸送する技術が必要になりました。こうして新たに開発されたのが、LNGタンカーです。天然ガスは冷却されると液化して、大幅に容積が減ります。したがって、厳重に断熱した冷却タンクを積んだ船ならLNGも輸送できます。
LNGタンクの形式
LNGを貯蔵するタンクは、‐162Cの低温に耐えられるよう、ステンレスやニッケル鋼など低温に強い材料で構成する、外側は厚く断熱材で包まれています。その1つが「独立支持方式」と呼ばれるもので、個々のタンクが自分自身の構造によって、内圧を支えるもので、球形、剛体のガスタンクを並べるMoss方式、角形のタンクを並べたコンチ式、LNGの熱膨張に対応するテク二ガス方式があります。
もう一つは「メンブレン(膜)方式」と呼ばれるもので、タンクは細胞膜のようなしわのある伸縮性の膜と断熱材で包まれていますが、タンクそのもので内圧を支えるわけではなく、船殻に圧力を伝え、船全体で内圧を支えます。
いかに、断熱効果を高めても、航海中ずっとガスを冷却しているわけではないので、多くのLNGタンカーは蒸気タービンを駆動する推進式を採用しています。
タグボート
タグボートは、自力で航行できない状態のあらゆる船舶の航行を補助する船の総称です。例えば、港湾内で接岸・離岸作業を行う大型船は、非常に低速では舵がきかず作業が困難です。このような場合にタグボートが船が引っ張ったり押したりして、船が自力で操舵できるようになるまで操船を補助します。また、造船所で新造の船が進水する時や船をドックに入れる時に港湾内の工事などで大きな構造物を水面に浮かべて運ぶ時にも、タグボートは活躍する。このように、港湾内で作業する小型のタグボートを「ハーバータグ」あるいは「港内曳舟」と呼びます。このタイプの船は、放水砲を搭載していて、消防艇の機能を兼ねたものも多いです。一方で、外洋で故障した船、座礁した船などを引っ張るため渡洋力を備えた比較的大型の船を「サルベージ・タグ」あるいは「救難曳舟」と呼びます。また、大型構造物を引いて、外洋を航行するタグボートを「オーシャン・タグ」あるいは「航洋曳舟」と呼びます。この、港湾内や内海で、はしけを押したり引いたりして運ぶ小型船も曳船と呼びます。
タグボートの構造
タグボートの歴史は動力船の開発と同じくらい古く、蒸気機関が船に搭載されるようになるとすぐ、保船を離岸、着岸させるためのタグボートが登場しました。また、この当時からタグボートは大馬力で小回りがきく、というのが最も重要な特性とされてきました。
今日日本で用いられているハーバータグも、最大で300トン程度の小型船ばかりですが、数千馬力クラスの非常に大きなエンジンを備え、小回りがきくようにゼットぺラやダックペラなど、360度周回させることのできるスクリュープロペラを2期備えています。このプロペラを自在に操れるように、ハーバータグには通常舵輪はなく、左右のプロペラの向きと回転数はスティックで操作します。
ハーバータグの能力は、前進、後退時の推力の大きさで表示され、速度は問われません。ハーバータグの推力は一般的には40トンから60トンです。大型船をロープで曳航する際、ロープはこの張力に耐えられる太さのものを使用します。船を押す場合は大型の舷側の喫水側付近、強度上押してかまわないように補強されています。
ヨット
ヨットという言葉は、もともと豪華な内装レジャー用の船舶の一般を指す言葉でした。三角の縦帆を持つ小型の帆船のみとさす言葉ではありません。
しかし、現代日本では、明らかにヨットとは縦帆のみで走る小型の帆船限定の意味で用いられる名称であり、横帆を持つ帆船は大きさに係わらずヨットとは別のものとされます。
本来のヨットは、14世紀にオランダで海賊船を追跡する戦闘用小型高速帆船として生まれて、狩猟を意味する「ヤハト」という名前で呼ばれていましたが、後にイギリス王チャールズ2世にオランダからヤハト「メアリー号」が贈られた際、この船種は英語読みで「ヨット」と呼ばれるようになりました。
欧米ではその後、ヨットの大型化が進み、富裕層がその豪華な内装を競ったことから、レジャー専用の豪華船は全てヨットに分類されるようになりました。しかし、日本では、幕末に長崎でイギリス人が小型ヨットを建造して、ヨットは特定の形式の帆船のみを指す言葉となりました。
ヨットの原理と種類
ヨットは通常追い風で前進しますが、向い風の中でも、約45℃の角度で風上に向かって帆走する「間切り」ができます。ヨットの船底中央にはセンターボードと呼ばれる抵抗板があり、風をはらんで膨らんだ帆を作り出す揚力とセンターボードの生み出す抵抗力の合力の方向へと船は進みます。風に向かってどれほど小さな角度で走れるかが、ヨット性能の1つの指標とされています。
ヨットはその用途や帆装方式によって多くのクラスに分けられます。日本で見られる船のほとんどは、船首近くに帆柱を持ち、1枚の縦帆を張った1~2乗りの「キャットリグ」か、これよりやや大きく、帆柱の前にも小さい縦帆を持つ5人~10人乗りの「スループ」であるが、欧米、とりわけアメリカでは、大型の「カッター」、「ヨール」、「スクーナー」などが好まれる傾向にあります。
また、用途という観点からは、足船として用いられるもっとも小型の船を「ディンギー」、それより大型のスポーツ・遊覧用の船を「クルーザー」などと呼びます。さらに世界各国で大きなヨットレースが開催されており、これに出場するためにレース用に特化したさまざまな船型があります。
プレジャーボート
プレジャーボートを操縦するには、1級から2級の小型船舶免許を必要します。この2つは海岸からの行動半径が異なります。
小型船舶の区分と免許
プレジャーボートとは、広義には娯楽目的で用いられる小型船舶全般をさす言葉で、本来はその中にヨット、遊漁船、屋形船などで含まれるが、小型船舶操縦免許で操縦できる20総トン未満のエンジン付き船舶をこう呼びます。1人では操縦でき、長さが24メートル以下で、いかなる形でも営業に用いない純粋な娯楽ボートであれば、プレジャーボートをみなされます。
小型船舶操縦免許には、かつて1級から5級までありましたが、平成15年6月の法改正により、1級と2級及び、特殊の3種に簡略化されました。
1級では、操縦できる範囲が無制限となります。ただし、沿岸から80海里以上離れた水域まで出ていく時には、6級海技士以上の資格を持つ人間を必ず同乗させなければなりません。また、2級免許では行動範囲が沿岸から5海里以内に制限されます。したがって、湘南の相模湾のように幅が10海里以上ある湾は、2級免許でまっすぐ横切ることはできません。特殊免許は、水上オートバイ専用免許で、1級、2級免許では操縦できません。
なお、長さ3メートルでエンジン出力15kW(約20馬力以下)の船には免許は必要ありません。
小型船舶の普及
現在日本では、プレジャーボートとヨットを合わせた小型船舶免許の取得者が307万人に達し、保有隻数は平成11年、12年でともに、ヨット、エンジン付きボート、水上オートバイ合わせて、439万隻にのぼります。もっとも、これをピークとしてその後の隻数は減少傾向にあり、平成17年度末には352万隻に減少しました。そして、常にその中で大部分を占めているのが、いわゆるモーターボートです。モーターボートの隻数は257万隻に対し、ヨットは83万隻、水上オートバイは12万隻です。
モーターボートにも小型、オープントップで全長3メートルをやや超える程度のものから10メートルを超え、大型客席を持ち、少なくとも1日以上の外洋巡航が可能なクルーザーまで各種があるが、日本国内で20メートルを超えるクルーザータイプは200隻に満たないのです。
いずれのモーターボートも船首部の舷側から船底にかけての断面はV字型で波浪による衝撃を弱めて、高速で航行する時には船底で働く揚力で船体から水面から持ち上げ、抵抗を減らす。
正規空母
正規空母という言葉は、今日では陸上基地と航空機を離着鑑させることのできる大型空母を指しています。しかし、この言葉は、商船を改造した空母ではなく、最初から空母であったか軍艦を改造した空母さしていました。
航空機が軍に採用された直後から各国は船に飛行機を積んで運用することを考え、1910年、アメリカ海軍は巡洋艦の後部に設けた仮設甲板から陸上機を発鑑させることに成功しました。その後、第一次世界大戦中に英海軍は巡洋艦を改造した空母フューリアスを建造、軍艦が元になった点で最初の正規空母とされるが、この船は前後の飛行甲板が中央の艦橋構造物で遮断されていました。
現代の正規空母の条件
第二次世界大戦当時、空母はいまだ一度に離艦あるいは着艦、どちらか一方しかこなせず、英海軍を除く各国空軍の空母は、飛行甲板の下の吹き抜けの格納庫を持つだけで荒天に弱かったのです。
1950年代、ジェット機が空母にも配備されるようになると、離着艦のための距離も足りなくなりました。すでに、第二次世界大戦中、米英海軍では、油圧式のカタパルトで飛行機に大きな加速を与えて、打ち出す技術を実用化していたが、油圧カタパルトではまだ能力不足でした。そこで、1951年、英海軍は油圧式よりずっと強力な蒸気式カタパルトを開発。
1952年には、空母「トライアンフ」を初めて、アンクルド・デッキを採用し、1隻の船で同時に離着岸が可能になりました。さらに各国の空母はイギリスにならって、舷側と飛行甲板をつなぎ、格納庫を密閉するエンクローズド・バウを採用。
蒸気カタパルトの構造
高圧蒸気をパイプに送り込み、シャトルを高速で前進させます。シャトルの一部は甲板上に突き出し、飛行機の前輪について固定具をこれにひっかけます。
シャトルと甲板の間はゴム製のファスナーになっていて、蒸気をもらさないようになっています。
イージスシステム搭載艦
イージス艦、イージス艦と話題になって久しいですが、東アジアの情勢がこれだけ緊迫していますから、ちょっと紹介しておきます。
かつて軍艦が砲のみを武器としていた時代に射撃指揮はすべて光学的な手段にもとづいて行っていました。艦のいちばん高いところにある光学測距儀で敵艦までの距離、その速度、進路その他のデータを測り、砲を敵の予想位置に向けて弾を打っていました。
やがてレーダーが開発されて、さらに軍艦の主な武装が砲からミサイルに変わると、索敵、測距、追尾、ミサイル誘導などはレーダーとその背後の情報処理システムに委ねられました。
しかし、従来のシステムでは、複数のレーダーからの情報がバラバラにもたらされ、脅威の判断や対処法などの決定はみな人間に委ねられ、発射してミサイルの誘導には1発につき1基ずつのアンテナを要するなど多くの欠点がありました。
そこで、1969年からアメリカが開発していたのが、「イージス」戦闘指揮システムです。イージスは、AN/SPY-1と呼ばれる4面のフェーズド・アレイ・レーダーを中核として、おもに対空戦闘を総合的に統制するシステムで、
- 半径400キロ全土の敵を瞬時に識別します。
- 脅威を評価
- 危険度の高い順に自動照準
その多目的同時処理能力は他の射撃指揮システムよりも圧倒的で、現在世界最高の戦闘指揮システムとなります。
イージスシステム搭載艦の現状
イージスシステムは本来対空戦闘を主眼として設計されたが、対空兵器ばかりでなく、砲やソナーとも連動し、艦全体の統合戦闘指揮システムとして働きます。
さらに、近年の水上戦闘艦はVLSを装備して、対空ミサイル以外に対艦ミサイル、巡航ミサイル、弾道弾迎撃用ミサイルなども同じ発射装置から発射できるため、イージスを搭載した艦は従来の艦よりずっと汎用性が高く、水上戦力の要となっています。
しかし、それだけにイージスシステムは価格も高く、推測価格ですが、500億円になるために装備しているのは日本、アメリカ、ノルウェー、韓国、スペインくらいです。オーストラリアと台湾も開発をすすめているようです。そのため、現在各国では、イージスと同様多機能のフェーズド・アレイ・レーダーを中核とする、より安価な戦闘指揮システムを開発、配備しており、いずれはイージスにかわるより高性能な戦闘指揮システムが標準装備となるでしょう。