ヘーグルール(米国)、ヘーグヴィスルール(日本を含む先進国)、ハンブルグルール(発展途上国)の3つのなど船荷証券B/Lに関する国際条約がありますが、
コンテナによる複合一貫輸送が定着した現在でもドアツードア輸送に対応する条約の発効にメドがたっておらず、船積み書類電子化への対応も課題となっていることから、国際的に統一したルールの作成を求められていました。
国連国際商取引法委員会で新条約づくりが進められ、運送人の責任原則の見直し、責任限度額の引き上げなどが検討されて、できあがった条約案が
ロッテルダムルール
Convention on Contracts for the Internaional Carriage of Goods Wholly or Party by Sea
という英語の条約なんですが、日本語訳は
”その全部または一部が海上運送である国際物品運送条約に関する条約”
わからない….
2008年に12月に国連総会で採択されて、2009年9月にロッテルダムで署名式が行われました。そのため一般的にはロッテルダムルールと呼ばれています。
根幹は貨物の受け取り地点から引き渡し地点までのドアからドアまで
複合輸送全体に適用範囲が広がったということが最大の特徴
こういうことです。海上輸送だけをカバーしているヘーグルールあるいはヘーグヴィスルールと異なり、国際輸送の現状を反映した形となっています。電子化にも対応していまして、荷主が電子B/LやWaybillの発行を運送人に請求することを認めています。
運送人の責任については、航海過失免責がなくなり、運送人の過失責任主義を採用しています。これは従来の条約と決定的に異なる特徴的な変更で運送人の責任が重くなることを意味しています。
責任限度額も「1梱包あたり、879SDR/kgあたり3SDR」へと引き上げられました。これだと船会社や船舶代理店は納得がいかないルールになってしまいますよね。
そこで、荷送人、荷受人は安全航行のために正確な情報を提供することが求められ、危険物の通知を怠って、運送人に損害が発生した場合は、損害賠償の義務を負うとして、運送人、荷主双方のバランスをとっています。
その適用範囲については、貨物受け取り地、船積み港、荷揚げ港、貨物引き渡し地のいずれかが締結国に属していれば、非締結国発着貨物についても適用されます。
ロッテルダムルールの発効は20カ国が批准して、2018年1月には25カ国が加盟してスペインやトーゴ、コンゴなども最新加盟国として批准してきました。
ロッテルダムルール批准国のほとんどは欧州やアフリカ
アジアでは署名した国はほとんどありません。注目すべきなのは、アメリカが署名国に名を連ねていることです。いずれの条約にも加盟していない国も署名に前向きだと言われています。世界最大の貿易国である米国と中国が批准にまで踏み込めば、前向きな欧州諸国の動静も考慮すると、ロッテルダム条約の世界標準となる可能性が高いです。
米国の国際条約批准には上院2/3の承認が必要だが、大統領府はロッテルダムルールを上院に送っていない。これは港湾局やターミナルオペレーターの反対があるからだと言われています。
ロッテルダムルールの19条では、特定の状況化では貨物の滅失あるいは損害に対して、海上輸送にかかわるサービスを提供している者(maritime performing party)は責任を負うとしており、港やターミナル業者が海上輸出輸送貨物の受け取り、荷捌き、船積み、輸入貨物の荷揚げ、横持ちなどの業務を提供する限り、損害賠償を要求される可能性があるからです。
現行の米国海上物品運送法(USCOGSA)にはこのような規定はありません。海上輸送にかかわる業者の賠償責任に関する国際条約と国内法との違いを整合できるかどうか?このあたりがアメリカの批准のキーとなりそうです。
ヘーグルール(米国)、ヘーグヴィスルール(日本を含む先進国)、ハンブルグルール(発展途上国)の3つのなど船荷証券B/Lに関する国際条約がありますが、これらの条約に加盟していない国があります。
中国、台湾、韓国、ブラジルは自国の国内法に拠っています。