海難事故への対応

海難

こんにちは。海事代理士のらきてぃっちです。

海難とはどういうものか?

海難という言葉はしばしばマスコミを通じて耳にしますが、一口の海難といってもその内容は多岐にわたります。

現在、日本において、あらゆる海難事故を取り扱う法律である「海難審判法」では、海難を以下の3つであると定義しています。

  • 船舶そのものに損傷が生じたか、船の運行に関連して何らかの施設に損傷が生じること
  • 船の構造、設備、運用に関連して人間が死傷すること
  • 船の安全または運行が阻害されることです。

日本で多い海難は乗り上げ、衝突、機関故障の3つです。

 

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海難が生じた場合の対処法

実際に海難事故が起こった場合は、事故の内容に応じて、操船者にはさまざまな対処法が定められています。しかし、いかなる事故であれ、最終的には船の乗客、乗員の生命が最優先されることは言うまでないです。

そこで、1974年、IMO(国際海事機関)によってSOLAS(海上人命安全条約)が採択されて、船の安全性の検査や設計条件から、機関設備、防火・消化設備、救命艇その他の救命設備にいたるまで内容が取り決められました。

SOLAS=タイタニック号の遭難を契機として1914年に主要海運国によって作られた条約です。29年、48年、60年、74年に改定されています。

ちなみにモールス無線電信によるSOSが初めて発信されたのも、タイタニック号の事故でした。

 

これにより、今日の船舶はすべて、その乗員・乗客数に合った救命ボート、救命胴衣、浮袋を完備しています。救命ボートには、食料・水・医療器具の他に、非常用位置指示無線標識、レーダー・トランスポンダー、各種信号灯、発煙筒などを装備することが義務づけられています。

また、近くにいる船に対して、海難信号を送る際には、1分間隔で1回ずつ行う発泡や爆発、赤い色のロケット信号、無線電話による「メーデー」という語の送信、その他多くの信号パターンが定められています。

近年では、遭難信号の送受信は完全に自動化されて、GPSによる海難座礁データの特定と送信、沈没時のイーパブの放出も実施されています。

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衛星EPIRB(イーパブ)

Emergency
Position Indicating
Radio Beacon

衛星EPIRB(イーパブ)とは
Emergency Position Indicating Radio Beacon
(非常用位置指示無線標識)

衛星EPIRB | 海外技術株式会社 | KGK Japan

EPIRBは船舶が遭難した際に、本船から救命艇や救命いかだに持ち込むか、船舶が沈没などでEPIRBの水圧センサーにより本体が自動離脱して、遭難信号を発信して非常事態を地上局に伝達させる重要な機器です。 手動または自動で送信することができ、遭難信号はCOSPAS/SARSAT衛星を経て各国で設置している地上局が受信し、船名や送信場所などを解読し特定することができます。 また航空機によるホーミングのために121.5MHzの遭難信号も併せて発信することができます。

各種通信技術を用いた海難救助システム GMDSS

GMDSS=global-maritime-distress-and-safety-system

GMDSSは、衛星通信技術やデジタル通信技術を用いた高度な海難救助システムです。各種無線機のほか、衛星イーパブ、レーダトランスポンダ、インマルサットCなんかで構成されています。