ジョーティッシュにおけるハウスと惑星基礎

ジョーティッシュ

こんばんは。ソムリエのらきてぃっちです。

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今回はジョーティッシュにおけるハウスと惑星

ハウス
ホロスコープは、12星座を図式化することから始まります。これは分譲住宅でいえば、区画にあたります。

インド占星術では、まず12星座を左図のように割り振ります。

順番は左上端から時計回りで、魚座牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座、天秤座、蠍座、射手座、山羊座、水瓶座です。

一般に占星術でよく使われる星座の記号(上図参照)で星座を書き換えると、左図のようになります。

星座の位置は固定です。占う人やものによって異なることはありません。最上段の左端から順に、魚座、牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座、天秤座、蠍座・・・となります。

 

次に、これらの星座に1番から12番までの番号を振ります。1番はアセンダントです。アセンダントとは、東の地平にある星座に相当します。下図の場合、蠍座(さそり)がアセンダントになります。
アセンダントから順に時計回りに番号を振ると、左図のようになります。蠍座から順に、1室、2室、3室、4室、・・・、12室となります。これをハウスと呼びます。

これは、分譲住宅に例えるならば、分譲された個々の住宅(ハウス)ということになるのでしょうか。割り振られた番号は、番地とか棟番号に相当します。たとえば、蠍座という区画に、1号棟が建っている、というふうに考えることができます。

 

太陽系の惑星も、ホロスコープの重要な構成要素です。

下図では、火星がアセンダントの蠍座に近接しており、太陽と水星が微妙に獅子座にかかっているように見えますが、計算すると実際には獅子座のひとつ手前の蟹座の領域に属しています。

これをホロスコープに翻訳すると、「火星が蠍座に在住し、太陽と水星は蟹座に在住している」と言います。ハウスの観点から言えば、「火星が1室に在住し、太陽と水星は9室に在住している」となるでしょう。

 

太陽系の他の惑星についてもハウスの位置を計算すると、左図のようになります。月が5室の魚座に在住し、土星が7室の牡牛座に在住し、ラーフと木星、金星は、いずれも8室の双子座に在住し、ケートゥは2室の射手座に在住しています。

インド占星術で使用する惑星は、太陽、月、火星、水星、木星、金星、土星、ラーフ、ケートゥの9つです。ラーフとケートゥは、太陽の軌道と月の軌道の2つの交点を意味し、それぞれ西洋占星術ではドラゴンヘッドドラゴンテールと呼ばれています。
それらは実在する惑星ではなく、概念上の存在で、影の惑星と呼ばれています。また、太陽は恒星、月は衛星で、厳密には惑星ではないことは言うまでもありません。ですが、簡単のためこれら9つをすべてまとめて、惑星(Planet)と呼んでいます。

また、西洋占星術で使われる3つの惑星(冥王星、天王星、海王星)は、インド占星術では使用されません。もちろん、これらの惑星をインド占星術で使用している人もおり、実際に作用しているという話も聞くことがありますが、伝統的でオーソドックスなインド占星術では、これらの惑星は使用しません。

次に、占星術でよく使われる惑星の記号(左図)を用いて、ホロスコープを描き替えてみましょう。

記号を使うと、左図のようになります。ここには、星座ハウス(番号)、惑星というホロスコープを構成する要素すべてが盛り込まれております。

実際には、それぞれの惑星が、星座のどのあたりに(0~30度)に位置するかを示すために、惑星ごとに度数(0~30度)も表示しますが、ここでは省略します。

惑星は、分譲住宅に例えるならば、ハウス住人に相当します。例えば、火星は蠍座の区画に立つ1室ハウスに住んでいる、となります。双子座の区画にある8室には、ラーフと木星と金星が同居していることになります。


いちおうこれで基本的な
ホロスコープは完成したことになります。

 

Copyright@大森 一

 

惑星の象意
ホロスコープを読むとき、どの惑星が強く、どの惑星が弱いかを調べます。強い惑星や弱い惑星の象意は、その人の人生において中心的なテーマとなります。ですから、惑星の象意はとても重要です。
惑 星
象  意
太陽
王、魂、エゴ、勇気、プライド、地位、名誉、権力、政府、王室、健康、薬、不毛、熱、エネルギー、濃い赤 (気高さ)
妻、女性、家族、心の安定、記憶力、快適さ、幸福、豊かさ、変化、名声、人気、旅行、昆虫、園芸、海産植物、海、川、湖、液体。月は精神を表わし、精神の安定は記憶力を意味します。 (こころ)
火星
情熱、集中力、欲望、焦り、怒り、暴力、犯罪、スピード、精力、力、闘争、火、土地、不動産、科学、論理、乗物に乗る(運転・操縦)、外科手術 (指揮官)
水星
知能、論理性・合理性医療従事者、落ち着きの無さ、言葉、手紙、コミュニケーション、商業、貿易、出版、印刷、事務員、会計、文筆、教育、数学、占星術、踊り、移動 (知性)
木星
グル、教師、医者、智慧、識別力、幸運、チャンス、財産、拡大、外国、宗教、献身、伝統的、占星術、ヴェーダ、聖典、マントラ、黄色。月が記憶力、水星が知性、木星は直感的な智慧を意味します。 (拡大指向
金星
愛・結婚、快楽・贅沢、宝石、幸運、芸術、踊り、音楽、美しさ、ウォーター・スポーツ、水泳、試合、ゲーム、文化、乗物、白色 (快楽)
土星
疾病、苦悩、悲しみ、貧困、抑圧、遅延、奇形、恐怖、否定、破壊、障害、犯罪、農業、改革、建設、損失、安定、寿命、労働、民主主義、奉仕、科学、伝統や常識に基づかない行為、青色、黒色 (縮小指向)
ラーフ
アウトカースト、最下層民、外国人、罪深い女性、ヘビ、爬虫類、快楽主義、飽くなき現世的欲望、勇気、向こう見ず、無智、怠惰、偽善、異常、調査、外国での生活、物質主義、賭博 (外向的)
ケートゥ
アウトカースト、最下層民、外国人医療従事者、真我、禁欲主義、解脱、超能力、識別力、幽霊、毒のある言葉、陰謀、オカルト主義、哲学 (内向的)
太陽 :  月
父:母
権力:家庭
気高さ:心の安定
熱:液体
火星 : 水星
情熱:理性
体育会系:文系
暴力:話し合い
スポーツ:文芸
木星 : 土星
拡大:縮み
善行:悪行
自立的献身:強制的奉仕
繁栄:貧困
水星 : 金星
実務:芸術
理性:感性
金を稼ぐ:金を使う
移動:乗り物
ラーフ:ケートゥ
外向的:内向的
世俗的:解脱
快楽主義:禁欲主義
物質的:精神

 

ハウスの象意
ホロスコープを読むとき、惑星と同時にハウスの強弱も調べます。強い惑星や弱い惑星の象意と一緒に、強いハウスと弱いハウスの象意を重ねて、浮かび上がってくるテーマが、その人の人生における中心的なテーマとなります。ですから、ハウスの象意は、惑星の象意と同様あるいはそれ以上に重要です。
 ダルマハウス(法則)
 アルタハウス(富)
 カーマハウス(欲望)
 モクシャハウス(解脱)
第1室
上昇する太陽は身体(健康)を表わします。なぜなら、上昇する星座は、人間の体も高揚させるからです。このため、身体はラグナと同一視されます。ですから、身体になにか起きる場合、ほとんどラグナやラグナの支配星が関係しています。
第2室
身体を維持していくためには、食べ物、衣服、お金(収入)が必要です。最初は両親から与えられますが、後に自分自身で調達しなければなりません。ですから、第2室には、家庭という意味もあります。その他、言葉スピーチもこのハウスの象意です。このハウスに火星が在住すると悪口をつきやすく、土星が在住すると嘘をつきやすくなる反面、木星が在住すると良い言葉を話す傾向があるとされています。また、死(マーラカ)のハウスとも言われています。
第3室
お金を得るためには働かなければいけません(労働)。勇気努力も見せなければいけません。このような努力は、伝統的な社会にあっては弟妹の協力を得て初めて可能となります。ですから、第3室は、労働、トレーニング、勇気、努力、弟妹を意味します。第3室には、吉星よりも凶星が在住する方が良いとされています。理由は2つあります。ひとつは、凶星は重労働を意味します。もうひとつは、第3室は凶のハウス(第3,6,11室)の1つとされており、凶のハウスに凶星があることによって、凶意が2重否定され、結果的に凶意は相殺されると考えます。
第4室
努力(第3室)して収入(第2室)を得ると、資産を得、それによって食いつないでいけるようになります。第4室は、母親、資産(土地や建物)、乗り物などを表わします。母親の幸福や家屋、乗り物はこのハウスと関係します。また、心の安定を表わします。
第5室
入れ物がそろったら、次は子供と教育、そして趣味の追及です。第5室には伝統的に、幼・青年期においては教育を意味し、成人・中年期には子供を意味し、壮年期以降は精神的な鍛錬(修行)を意味します。聖者パラーシャラは、このハウスの象意として教育を強調しています。
第6室
教育(第5室)が修了すると、キャリアが始まり、健やかな健康作りの段階に入ります。また、それと同時に、病気、敵対、借金の問題も出てきます。第6室はこれらの象意を意味します。第6室は、第3室と同様に、凶星が在住する方が吉星が在住するよりも良いとされています。
第7室
職(第6室)につくと、人間関係(ビジネスパートナー)が形成され、やがて人生のパートナー(妻・夫・同棲相手)を欲するようになります。恋愛人間関係、ビジネスパートナーは、第7室の象意です。死(マーラカ)のハウスとも言われています。
第8室
家庭に落ち着くと、次は長生きをして人生を謳歌したいと思うようになります。第8室は、寿命(生命)のハウスです。
第9室
やがて、良い行ない(宗教的な善行)によって長生きできるので、長寿の願望が良い行ないを助長します。第9室は宗教性のハウスです。また、伝統的に家長は宗教の師にも擬せられました。北インドでは、父親は第9室で表されます(南インドでは第10室が父親を表わしています)。派生して、第9室は、教師、師のハウスです
第10室
行ない(業:カルマ)のハウスです。父親が子供をに就かせたり、あるいは自分で努力してキャリアを形成しようとします。第10室は職業、名声のハウスです。南インドでは、父親は宗教上の師というよりも職業上の師として見るので、第10室は父親を表すとされています。職業や昇給・昇進はこのハウスを見ます。
第11室
第11室は、第10室から見て第2室なので、第2室と同様に収入のハウスを意味します。第10室でなにを得るかは、このハウスで見ます。また、それゆえに、達成を意味し、称号(タイトル)、名誉なども意味します。また、第3室は弟妹を意味しますので、第11室は兄姉のハウスでもあります。なぜならば、第11室から第3室目は兄姉の弟妹、すなわち自分自身を表わすからです。願望成就のハウスと言われています。
第12室
第11室で得た収入は、このハウスで消費されます。そこから、損なうハウスと呼ばれています。人生の最終段階のハウスでもあるので、死の準備のハウスでもあり、解脱を意味するモクシャハウスでもあります。
12番目の部屋の意味合い
12番目のハウスは、損なうハウスなので、そこからハウスの象意に新たな意味が加味されます。

たとえば、生命を意味する第8室から12番目のハウスである第7室は、生命を損なうので、を意味するマーラカのハウスとされています。

第8室から8室目の第3室は、第8室と同様に生命を意味します。ですから、そこから12室目の第2室は、生命を損なうので死を意味するマーラカのハウスとされます。

また、宗教性や功徳を表わす第9室から12室目の第8室は、宗教性や功徳を損なうので、悪徳や隠れて何かをする(秘密)という意味もあります。また、第8室はモクシャハウスでもあるので、それにモクシャハウスの意味合いが加味されて、タントラマントラという意味合いも生じます。

人間関係を意味する第7室から12室目の第6室には、人間関係を損なうことから、競争、係争、敵対関係などの意味が加わります。

一言で言えば
人間関係で言えば
第1室
健康
自分
第2室
収入
第3室
欲求
弟・妹
第4室
建物
母親
第5室
学習
子供
第6室
競争
第7室
対人関係
配偶者(妻・夫)
第8室
寿命
第9室
教師
父親
第10室
職業
第11室
達成
兄・姉
第12室
喪失